展示会のご報告

<第100回記念 山本隆博展 11/16(水)、17(木)>

東京で開催した「うるしの会」は、今回で100回目となりました。平成元年の第1回からお招きした作家の方は総勢21名。 会場には実に大勢のお客さまにお越しいただきました。 その皆さま方にさまざまな表情の漆器をご紹介できたと自負しております。 こうして回を重ねてこられましたのも、日頃から漆器を暮らしの友として愛でてくださるお客さまと、誠意ある作り手の作家の方々のお陰と心からお礼申し上げます。 これからも日本の伝統文化である漆器をさまざまな生活スタイルにあわせてご紹介し、お客さまと作家との良き繋ぎ手となる所存でおります。 今後とも宜しくお願いいたします。

<山本隆博さん>

山本隆博さんは昨年11月に惜しまれながら亡くなられた山本英明さんのご子息で、塗師として知られる山本家の伝統を継ぐ、次代の旗手でもあります。
奇しくも「うるしの会」の第1回は英明さんにお越し願いました。そして節目の第100回にはご子息の隆博さんをお招きできたことに、何か因縁めいたものを感じます。
隆博さんは、自ら精製した日本産の漆や木曽の檜などの良質な素材を木地に使い、加えてその技術の高さと丁寧な仕事ぶりで、高い評価を受けておいでです。
今回は意欲作の『滴(しずく)』・『切子(きりこ)』シリーズと、山本家伝統の扱いやすくて丈夫な定番の品々を紹介して下さいました。

隆博さんによる作品の解説

<作品紹介>

父、英明さんの信条である丈夫で長持ち、しかもお客さんの使いやすさと、職人の仕事のしやすさからうまれた作風を尊重しながらも、「自分はそのオーソドックスさに楽しさ、デザイン性という『毒気』をあえて加えていきたい。」と、隆博さんは語ります。
それが表現されたのが『滴』と『切子』の一連の作品です。『滴』は色漆を点描して模様をおこしたものです。
ランダムに色漆を落としただけに見えますが、点の一つ一つは前もって当たりがつけられています。さらに、先に塗った上漆の乾き具合を確かめてから色漆の粘度を決めるなど、制作の過程は計算しつくされています。
さらに『切子』は、独特の製法で仕上げて面と線のシャープさを引き出しています。
このように卓越した技法が多く使われていますが、作品を見ただけではわかりません。
今回は実際に作品を手に取って、作家ご本人に説明してもらうことでお客さまに理解していただきました。皆さま、仕上げの見事さにすっかり魅了されたご様子。
英明さんの頑固一徹な思いを受け継ぎ、それに現代的な感性と芸術性を加えた隆博さんの作品から、これからも目を離すことはできません。

「滴」シリーズから石華椀 日月

煮物椀を懐石料理の「華」と位置づけて“石華椀”と隆博さんは名付けました。
色漆二色で太陽と月を表している。

<お料理のことなど>

お料理はNHKの「きょうの料理」などでおなじみの堀江ひろ子先生にお願いいたしました。
先生は英明さん、隆博さん父子と作品を介して長きにわたる交流があり、そのご縁でお引き受け下さいました。
お料理の数は10品以上。ご郷里の飫肥の卵焼きをはじめとして、お嬢様のほりえさわこ先生のイタリアンの前菜などが、ホームパーティ形式で隆博さんの作品に盛られました。
家庭料理がすべての基本とおっしゃる堀江先生のお料理は心和むお味。そのお料理が隆博さんのシャープな作品に柔らかさを加え、漆の器をより身近に感じさせました。
先生ご本人が丁寧な作り方の説明をして下さり、しかもレシピ付きなので、「ちょっと頑張ったら、自宅でも作れるかも」とお客様に大好評でした。
会の終わりに、堀江先生は母から娘へと繋ぐ料理研究家というお立場からご自身の思いをこめて「ものづくりもお料理も伝統が大切」と語られました。 この言葉を暖かいエールとして、同席された隆博さんも受け止められたことでしょう。

    会場で作品を拝見している間に
    ホームパーティの準備が整いました。
    堀江ひろ子先生のお料理のお話
    皆さま、おいしそうに召し上がっています。
    文箱(蓋を開けたところ)五段長手隅切り重箱
    五段のうち浅い2段の1つに盛られた
    “飫肥の卵焼き”の小皿
    八寸平皿うるみへぎ目
    イタリアンの前菜

季刊誌“四季の味”の冬号(H.23.12月発売)に「箱瀬特別展をお客様の佐藤様宅にて開催した様子」が掲載されています。
ぜひご購読下さい。

■次回展のご案内

佐川泰正展<その8>

日時:平成24年1月27日(金)、28日(土)
場所:懐石 龍雲庵
★ポイント:好評の漆宝堂オリジナル“檜椀”を多岐にわたって後藤先生に盛付けしていただきます。